Helicobacter pyloriの無血清培養における強制通気装置の有用性
■データ提供:株式会社ファーマフーズ
バイオメディカル部 主任研究員 篠木 武 様(農学博士)
概要
Helicobacter pyloriをはじめとした微好気性菌の培養は、培地に動物血清を添加し、人工的な微好気条件下で行う。血清成分の添加は安定した培養を保証するものであるが、培養上清中の分泌蛋白の解析や精製をする為には、その血清蛋白質の存在が、培養後の蛋白質の解析や精製過程を阻害することは明白である。
そこで、Helicobacter pyloriの培養に実績(参考データとして文末に掲載)のある、嫌気ガス強制通気式の振とう培養装置(CO2-BR40LF タイテック社製)を用いた培養プロセスの改善、すなわち、無血清培地でのパフォーマンスを検討した。
材料と方法
アネロパックによる嫌気ガス環境(パウチ培養)、及び強制通気式による嫌気ガス環境においてHelicobacter pylori の培養を行い、代謝産物の産生量比較を行った。
微生物
- Helicobacter pylori
試薬および培地
- Brucella broth (BBL社製)
- アネロパウチ・微好気(三菱ガス化学社製)
機器
容器
- ガラス製500mlフラスコ(Iwaki社製)
実験プロセス
- 嫌気ガス環境の整備(CO210%,O2 5%)
※CO2-BRは通気量20ml・min・フラスコ - ピロリ菌の培養(37℃,80rpm,72h)
- ピロリ菌培養後の上清をTCA(トリクロロ酢酸)沈殿(10000x g、15 min, 4℃)
- 各サンプルを回収し、SDS-PAGE後、蛋白質Aに対する抗体を用いたウエスタンブロットにより生産性を確認
結果
前培養としてピロリ菌を、無血清ブルセラ培地で72時間培養した培養液1mlを用い、新しいブルセラ培地50mlに添加し培養を開始した。強制通気培養装置を用いた培養では、培養24時間後で菌の増殖が確認されたが、パウチ培養では、72時間後においてもほとんど菌の増殖は認められなかった。また、1/2ブルセラ培地においても強制通気培養を行うと増殖が認められた。
次に、培養上清中の蛋白質Aの生産量を確認するため、培養液を1ml回収し、遠心分離により菌体を除去し、培養上清からTCA沈殿により蛋白質を回収した。その後、SDS-PAGEにより蛋白質を分画後、セミドライブロッティング装置 (アトー社製)によりブロッテイング膜 Clear blot membrane-P (アトー社製)に転写した。その膜はブロッキング後、蛋白質Aに対する抗体を反応させ、HRP標識二次抗体を処理し、HRPの発光シグナルを検出した。その結果、強制通気培養を行った培養上清サンプルにのみ強いシグナルが検出された。また、1/2ブルセラ培地においても蛋白質Aの生産が確認された(下図)。

図)ウエスタンプブロットによる蛋白質Aの生産性の検討
次に、培養上清中の蛋白質Aの生産量を確認するため、培養液を1ml回収し、遠心分離により菌体を除去し、培養上清からTCA沈殿により蛋白質を回収した。その後、SDS-PAGEにより蛋白質を分画後、セミドライブロッティング装置 (アトー社製)によりブロッテイング膜 Clear blot membrane-P (アトー社製)に転写した。その膜はブロッキング後、蛋白質Aに対する抗体を反応させ、HRP標識二次抗体を処理し、HRPの発光シグナルを検出した。その結果、強制通気培養を行った培養上清サンプルにのみ強いシグナルが検出された。また、1/2ブルセラ培地においても蛋白質Aの生産が確認された(下図)。

図)ウエスタンプブロットによる蛋白質Aの生産性の検討
考察
今回の実験結果より、ピロリ菌無血清培養において強制通気培養が非常に有効であることが示された。また、その培養上清中における蛋白質Aの生産もパウチ培養時と比較して優れていることが明らかとなった。その理由としては今回対比したアネロパックの場合、O2濃度が6-12%、CO2濃度が5-8%となる仕様であり、ピロリ菌に必要な微好気性ならびに二酸化炭素環境を作り出すことができる。写真のプラスティックバッグと三角フラスコの間でガスのやり取りは蓋を介してのみであり、かつ自然対流に依存している。また吸収するO2よりも発生するCO2ガスが少ないためプラスティックバッグ内が減圧となり、結果として三角フラスコへのガスの置換が促進されない。こうした状況で培養した場合、必ずしもフラスコ内部が最適の環境になっているとは言いがたい。一方、今回用いた装置ではフラスコ内に、10%のCO2ガスと5%のO2ガスが完全に混合された状態で強制通気されるため、フラスコ内はほぼ間違いなく最適な培養環境となっていたと考えられる。以上のような微好気環境の維持が、培養効率の向上、更に目的蛋白質の発現量の向上につながったと考えられる。
2008-02-26 13:06:28
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2008-02-26 13:06:28

















